歯ならびが良くないことで、みがき残しが起こり、虫歯、歯周病などになるリスクが高まったり、歯の位置が著しく悪いことにより外傷を受けやすくなったりすることは事実です。
また、見た目の問題からコンプレックスを感じたりすることもあるかもしれません。
ただこのあたりの問題に関して、どのように考えるかは人それぞれだと思います。歯ならびが良くなくても、出っ歯でも、受け口でも健康的で幸せに暮らしている人はたくさんいると思います。
重要なことは、今の状態を改善したいと思うかどうかです。自然に改善するものであればいいですが、そうでない場合には矯正治療が必要になります。
学校検診でひっかかった、前々から気になっていた・・・など、きっかけは何でもいいと思います。
初診相談時には、現在の状態の問題点、それを改善するために矯正治療を行う必要があるのか、考えられる方法、治療費などをご説明させていただきます。
歯ならびが良くない原因は、多くの場合歯をならべるだけのすき間が足りないことが多いです。よって、これを改善しようと思うとどこかにすき間を作らないといけません。
口元を下げたい、など歯を後ろに下げる場合も同様にすき間を必要とします。
矯正治療ですき間を作る方法は、大きく分けると3つあります。
・歯列を側方に拡げる
・歯列を前後的に拡げる
・歯の本数を減らす
歯列を側方に拡げる方法は、成長期の子供や少しの量であれば行うことがありますが、歯をならべる骨の幅にも限度があるので、大きなすき間を必要とする場合にはおすすめしません。
前後的に拡げる方法は、前歯を前に移動するか、奥歯を後ろに下げるか、になりますが、一般的に前歯を出したいという方はあまりいらっしゃらないので、奥歯を後ろに下げてすき間を作ります。ただこれも果てしなく後ろに下げられるわけではないことと、奥歯を後ろに下げるのは矯正治療では難しい移動になるので、やはり大きなすき間を必要とする場合にはおすすめしません。
そこで、歯の本数を減らす、というのが抜歯になります。そもそも歯がならびきらないのは、歯の本数とそれをならべる骨の大きさが合っていないことが原因です。よって歯の本数を減らして、他の歯をならべてあげるというのは理にかなっています。もちろんすべての方に抜歯が適応になるというわけではなく、あくまですき間を作るひとつの方法で、上記の側方、前後的な拡大で対応する場合も多いです。状態とご希望によってどのようにすき間を作っていくかは考えますので、まずはご相談ください。
矯正治療で抜歯する歯は、第1小臼歯(前から4番目の歯)あるいは第2小臼歯(前から5番目の歯)が多いです。他の歯が対象になることもありますが、見た目的にも機能的にも大きな影響を受けないことから4番目か5番目の歯がよく選択されます。
実際のところ、歯ならびが良くない状態の場合、機能していない歯も何本かあると思うので、抜歯しても実質的な影響はないと考えていいと思います。
大人の矯正治療で全体の歯を移動する期間は、目立たない装置を使って2年から3年くらいです。
ただこれはあくまで平均的なもので、もっとかかる人もいれば、そこまでかからない人もいます。人によって状態や治療内容が違うので、一概には言えないところです。
裏側の装置やマウスピースを使った矯正治療の場合は、目立たない装置と比較すると長くかかる傾向にあります。
歯は矯正治療で移動すると、装置を外したあとに元に戻ろうとします。この元に戻らないように維持する処置のことを保定(ほてい)といいます。このための装置を保定装置といって、矯正治療のあとには何らかの保定装置が必要になります。保定装置は比較的目立たない、簡単な装置となりますが、目的が歯の位置を維持することなので装着は長ければ長いほうが安心です。
子どもの矯正治療の場合、人によって大きく治療期間が異なります。これは、どのような不正咬合の状態か、成長がどのくらいあるのか、協力度はどのくらいあるのか、など様々な状況が考えられるからです。
ただ、当院で最初に多くの方に用いる取り外しの装置は、半年から1年くらいの使用を想定しています。
歯を移動している期間は、通常月に1度くらいのペースの来院となります。
保定期間中など様子をみる期間は、3か月から半年に1度くらいのペースです。
状態によって様々ではあるのですが、子どもの矯正治療の場合早く行ったほうがいいこともあります。何歳でも気になることがあるようでしたら、その時に一度ご相談ください。ご相談の結果、しばらくは様子をみるだけ、ということもあります。
大人の矯正治療に年齢制限はありません。歯を支えている骨がしっかりしていれば、何歳でも行うことができます。
歯や骨に力を加えると痛みや違和感を感じることがあります。ただ痛みの感じ方は個人差が大きく、やってみないと分からないところはあります。痛みを強く感じる方は、固いものが食べられないとか不自由を感じるかもしれません。
しかし、矯正治療の期間中ずっと痛いというわけではなく、月に1度の調節後大体長くて1週間から10日くらいの期間感じることが多いです。また痛みは治療の進行とともに慣れてくることが多いです。
その他、矯正治療に関する疑問・ご質問がございましたらお気軽にお電話にてお問い合わせください。